第18回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作に使用された用紙と作中のアイテム

 

『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』
 
書籍用紙のトレンドを探る『知ってる? あの本の紙』シリーズ。
今回はその第8弾。小説の数ある賞レースから『このミステリーがすごい!』大賞に注目してみました。略称は『このミス』。

第4回(2004年)の大賞には海堂尊さんの『チーム・バチスタの栄光』、第15回(2016年)隠し玉(編集部が「賞をとれなくても作品にしたい」作品が受賞)では志駕晃さんの『スマホを落としただけなのに』などがあり、このコンテストからは、映画化されたりドラマ化されたりと、エンターテインメントとしても注目される作品が多く輩出されています。
昨年の第18回大賞には、歌田年さんの『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』が選ばれました。おめでとうございます!

それでは、いつものように『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』のネタバレになるような内容には触れずに、使用された用紙を紹介していきましょう。

 

この作品の主人公は紙鑑定士。きっと調べがいのある用紙が多く使用されているのではと、紙調べが趣味になっている私としては非常に楽しみです。
では、紙調べ!

と行きたいところですが、なんと!!

 

 

見返しを含め本書籍に使用されている用紙の銘柄がすべて公開されておりました。
これでは私が楽しみにしている紙調べが成立しない(涙)。
とはいえ、ひと通り見本帳と比べていきましょう。

 

【カバー】NTラシャ スノーホワイト

 

【表紙】 ファーストヴィンテージ イエローオーカー

 

【帯】TS-1 タントセレクト N-8

 

【見返し】マーメイド 桜

 

【別丁扉】クラシコトレーシングFS

 

【遊び紙】スピカレイドボンド

 

というわけで、紙調べは行わないまま今回の記事を終わってしまうのも、紙屋魂が許さない!(笑)
なので、視点を変えて、今回は品の中に登場する紙鑑定士の7つ道具。スコープとダイヤルゲージを紹介しましょう。

 

▶スコープ

左の写真が、私が十数年前、営業部に配属されたときに会社から支給された、ドイツ製のスコープです。スコープにもいろいろな種類があるのですが基本的にはレンズが付いた筒状の道具です。私が持っているスコープは見たい目標の上にスコープをセットし、ピントを合わせて使用します。30倍に拡大され、右の写真のように網点がくっきり見えます(スマホで撮影するのに苦労しました)。初めて印刷物をスコープで覗いた時、写真のように印刷物が4色の点の集合体だったことに驚いたことがあります。

 

▶ダイヤルゲージ

続いて、紙の厚さを調べるダイヤルゲージ。
1メモリ10μ(ミクロン)となっており、右の写真のように300μの用紙を測ると針は30を指します。針が1周すると1mmです。
紙の色や模様を判断するには視覚で十分対応できますが、厚みに関しては数10ミクロン単位の違いのため、この道具に頼らざるを得ません。
精密機器のため、発泡スチロールのケースに入れて、大事に持ち歩いております。

 


ということで、、、
あれ2つしかない。。。
7つ道具のあと5つって何だろう?? 笑

では次回もお楽しみに!