奉書紙ってなに?


近年、パワースポット巡りなどで度々メディアなどにも取り上げられている「神社仏閣」。
御朱印集めもブームとなり、神社やお寺だけでなく文具店や雑貨屋さんにもかわいい御朱印帳を置いているお店をよく見かけます。
また、神社仏閣めぐりの雑誌と御朱印帳のコーナーを設けている書店もありますね。

この「紙らぼ」サイトでも、以前『神社仏閣 紙の品々』というタイトルで記事をUPしたことがあります。まだご覧になっていない方はこちらもチェックしてみてください。

そこで今回ご紹介するのは、「御朱印帳」、、、ではなく、
御朱印帳の本文に使われている「奉書紙」です。

 

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奉書紙ってなに?
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奉書紙は和紙の一種で、白くて厚みのあるしっかりとした和紙のことを総称して「奉書紙」と呼んでいます。
江戸時代には公用紙として扱われる高級な紙だったようです。
偉い人が部下に下す「重要事項を伝える文書」のことを「奉書」と呼んでいて、それに使われていたことから「奉書紙」と呼ばれたようです。
かつては楮(コウゾ)を用いて手漉きで作っていましたが、現在ではパルプを使用して抄造機で作ることがほとんどになりました。
勿論、伝統的な技法を用いた手漉き和紙も受け継がれていて、「越前奉書」などが有名です。

奉書紙は、祝辞や忌辞等の式辞を書いたり、香典やお祝いを包む際の包み紙、また、その他にも便箋や挨拶状、熨斗紙など幅広い用途で使用されています。
既製品として販売されているので、皆さんも知らず知らずのうちに「奉書紙」を使用しているかもしれませんね。
卒業式や結婚式などで読まれる祝辞や、神社で宮司さんが祝詞を読み上げる際に使うパタパタ折りたたむあの紙にも「奉書紙」が使われています。
現在でも「大事なことを伝える紙」として大切な場面で使用されています。

 

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奉書紙に書いてみた
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機械漉きの奉書紙は、印刷適性を持たせるために「サイズ剤」と呼ばれる滲み止めの薬品を使って抄造されています。
サイズ剤の有無によって実際に書いた時の書き心地や滲み具合が全然違うのです。
そこでどの程度違いが出るのか実際に試してみました。

●用意した物
・奉書舞鶴(無サイズ)・・・滲み止めなし ※画像左側
・奉書舞鶴(強サイズ)・・・滲み止めあり ※画像右側
・毛筆、墨汁
・市販の筆ペン

パッと見た感じだと滲み止めの有無によって違いはわかりません。
触ってみると滲み止めの入っていない方が少しザラザラしています。

実際に書いてみたものがこちらです。
まずは「無サイズ(滲み止めなし)」
【表側】    

<お恥ずかしのですが、、、「紙らぼ」と書くべきところを「紙ラボ」と書いてしまいました。。。>
左側が毛筆で書いた字、右側が筆ペンで書いた字です。
紙面がザラザラしているためか、ところどころ引っかかるような書き心地でした。
墨の吸収が早く、筆ペンだとすぐに擦れてしまいました。
【裏側】

裏側を見てみるとご覧の通りです。
奉書紙がしっかりと墨を吸い、裏抜けが目立ちます。


続いて「強サイズ(滲み止めあり)」です。

【表側】

 

先ほど同様左側が毛筆、右側が筆ペンで書いた字です。
「無サイズ」よりも滑らかな書き心地でした。
筆ペンではもそれほど擦れませんでした。
墨の吸収が無サイズよりも遅いため、乾くまでに少し時間がかかりました。

【裏側】

裏側はこんな感じです。
滲み止めが入っているため、墨を吸収しすぎることなく裏抜けもそこまで目立ちません。

筆圧や墨の量によって個人差はありますが、同じ紙の銘柄でも滲み止めの有無でこんなにも違いが出ました。
滲み方によって印象、使い勝手が変わるので、御朱印帳や祝詞用紙で使う奉書紙を特注で作っている業者さんもいらっしゃいます。

今回は奉書紙に実際に書いて滲み具合を試してみましたが、奉書紙は印刷をすることも出来ます。
洋紙とはまた違った風合いを出せるので、機会があれば和紙の印刷についてもご紹介してみたいと思っています。


文房具店などで奉書紙を使用した便箋や一筆箋も販売されていて、身近なところで購入することが出来ます。
SNSの発達により、手紙で気持ちを伝えることが少なくなった今、奉書紙を使ってお世話になっている方や大切な方に手紙を書くのも良いかもしれませんね。