当サイトをご覧いただいている”お馴染みさん”はご存知かと思いますが、当社は紙の商社であり、且つスケッチブックのメーカーでもあり……、つまりは、美術で使う紙「美術用紙」を数多く取扱っています。
ということで、今回は、美術用紙のアレコレについてご紹介したいと思います。
-----------------------------------------------------
どんな種類があるの?
-----------------------------------------------------
美術用紙としては、画用紙・水彩紙・ケント紙・版画用紙・トレーシングなど(まだまだあります)が代表的なところです。これほど色々な種類の紙を使う”教科”ってありますかね?(他にはないと思いますが……)
【画用紙】
「必ず」といっていいほど使うのが画用紙です。子供の頃に、クレヨンや絵の具で描いていた、あの表面がポコポコ(ケバケバ)した誰もが知っている紙です。
どんなものにも対応できて、安くて気軽に使えて、重宝しましたよね。
「昔使っていた頃は表面が毛羽立っていて、消しゴムで消すと、すぐに紙が剥けてしまった……」なんてことを思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今では製造技術が発達して、強度も上がり、安心して使えるようになりました。
【水彩紙】
絵の具(透明・不透明・アクリル)を使って描く水彩専用紙で人気があります。吸水性があって、にじみ止めの処理もされていて、凹凸があるものが多いです。
18世紀後半に英国のジェームス・ワットマンによって製造されたものが始まりで、ヨーロッパには様々な種類の水彩紙が存在します。
私事ですが、以前、イタリアを旅した時、ローマやフィレンツェで多くの画材店を見かけました。知らない見たことのない紙がたくさんあったのには驚かされました。
もちろん日本でも水彩紙は造られていて、「マーメイド」が有名です。その名を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。粗い凹凸があって、描いたあとの作品は何ともすばらしい風合いがあります。
私のお勧めは「パミス」という紙で、表面はキメ細かな線が綺麗に入っていて、独特の風合いがあります。マーメイドに飽きた方には、是非一度使っていただけたらと思います。かなり以前に発売された紙ですが、再ブレークしていて注文が増えています。
【ケント紙】
ポスターによく使われ、ポスターカラーで描くことが多いです。吸水性は良くありませんが、乾いたあとの発色は抜群で、くっきりと絵が映えて見えるのが特徴です。
デザインをするためにデザイナーが使ったり、技術の授業で製図を書くのに使われたりしています。
-----------------------------------------------------------------
美術の先生は独特の用語を使う
-----------------------------------------------------------------
当社には、学校の先生から様々なサイズの注文が入ります。
ほとんどは、1,091×788mmの全判(全紙)で保管している紙を、注文を受けてからご指定のサイズに断裁しています。
一番多いのがB3やB4です。
――なのですが、実は、先生方ってほとんど「B3」とか「B4」と言わないんですよ。(業界あるある!) 「四つ切(よつぎり)」とか「八つ切(やつぎり)」とおっしゃいます。
紙業界や印刷業界では、「四才」とか「八才」って言い方をしますが、美術では独特の言い方をします。
四切=四才=B3、同様に八切=八才=B4のことで、全て同じ意味なのですが、慣れないと理解しづらいですね。
これら以外にもハガキサイズや変型サイズ、用途に応じたサイズで断裁しています。
---------------------------------------------
紙には表と裏がある
---------------------------------------------
先生方から、たまに「紙ってどっちが表で、どっちが裏なの?」と質問があります。
どんな紙にも表と裏はあります。上質紙やコート紙など、冊子や本にして両面を使用するものはあまり関係はありませんが、美術用紙の場合は、ほとんど片面だけを使用します。特に水彩紙は、逆面に描いてしまうことで仕上がりが全く違うので、とても大事なことです。
紙の表と裏の見分け方には、いくつかの方法があるので参考にしてください。
見本帳と照らし合わせて判別するのが一番良いのですが、見本帳が無い時は、次の方法で判別してみるのも良いかと思います。
ひとつには、紙を包んでいる包装紙(ワンプと言います)のテープで留めてある部分を見る方法です。
”通常”はテープで留めている部分が上になっています。これは紙の”包み方”からくることで、通常では、まずワンプを敷いて、次にその上に断裁した紙を乗せて包むので、結果、上面が紙の表面になります。
もうひとつの手段として、切り口を触って判別する方法もあります。
紙の断裁は、上から刃を落とします。ですから、切ったあとの紙の下の切り口を触ってみると、微妙に”ボコッ”としていることがあります。それがわかれば表裏の判断ができます。(ちょっと高度ですね……)
それと、たまに紙の束の一番上にある紙の切り口の辺りに、何かで押さえた跡が残っている時があります。
我々紙屋では、紙を断裁する際に、紙がずれないように必ず重しのようなもので押さえて刃を落とします。この「紙に付いた跡」というのは、その押さえ跡なのです。この時、1トン位の力が加わっています。
まぁ、跡が残らない時もありますし、この方法で表裏を見極めるのは「たまたま」という偶然に出くわさないとなりませんが……。笑
中には、自分の好みにより、あえて裏面を使う先生もいるので、人によっては表裏はあまり関係ないのかもしれませんね。
今回は美術用紙のご紹介になりましたが、当社では、美術用紙だけではなく、文集や台紙、その他の用途に応じて様々な紙をご提案しております。お気軽に紙のプロ集団へお問合わせください。