小さな紙片、でも大きな存在、「しおり」


先日、出張で金沢に行きました。東京駅から金沢駅まで新幹線で3時間かからずに行くことができ、東京の人にとっては、より身近な旅行先になったのではないでしょうか。
帰る当日、お客様方と兼六園に足を運びました。専門ガイドの説明を聞きながら40分ほど園内を歩きましたが、兼六園の見どころや歴史などを分かり易く説明してくれましたので非常に有意義な時間になりました。有料ですが、初めて訪れる方にはこのガイドツアーの利用をお勧めしたいです。

園内の土産店に入ると、そこには和菓子、洋菓子、工芸品、そしてご当地限定品や酒類など、バラエティーに富んだ土産品が並んでいました。
数多い土産品の中で、何処の観光地に行っても、必ずと言ってほど見かける土産品があります。


――そう、「しおり」!


このお店にも、数種類のしおりが販売されていました。
その地域の特徴を活かした素材(紙、布、木、金属、塩ビなど)や特徴的な形のもの、また、金箔が施された手の込んだものも多く見掛けます。手ごろな価格帯の商品も多いので、ついつい購入してしまうことも少なくありません。

本を読む速度が遅い私にとっては、どこまで読んだか目印となる、あの小さな紙片は欠かせないアイテムです。
そのためか、書店で本を購入する際は、必ずといっていいほど精算カウンターに置かれている「しおり」を1枚取って本に挟んでもらいます。始めから本に挟まっている「アンケートはがき」や「ちらし」でも、しおりと同じ役目を果たせるのですが、私としてはそれだとなぜか不満なんですよねぇ……。
日頃、何気なく使っている「しおり」のあのサイズ感や紙の厚さが、「ちょうどいい!」と感じているからなのかもしれません。

    

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「しおり」の由来
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「しおり」の由来は、目印という役割からきており、元々の漢字は「枝折る(しおる)」と表記されていました。山道などを歩く際に、迷わないように木の枝を折って道しるべにしていたことから、道しるべを「しおり」と言うようになりました。
それが、本をどこまで読んだかわかるように書物の間に挟んで目印にするものを「しおり」と言うようになったそうです。
当初は書籍についた紐状のものが主流でしたが、19世紀ごろから紙や金属でできた「しおり」が登場し、現在に至っています。

   

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「しおり」の仕様
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あらためて、家にあった「しおり」見比べてみると、


・デザインは、新刊本の紹介や商品の広告、宣伝が印刷されているものが多い。
・紙質は、コート紙やマット紙、アートポスト紙が多く、色カードや特殊紙を使用しているものもある。
・サイズは、短辺35mm~55mm×長辺100mm~150mm程度
・紙厚は、104.7g/㎡~250g/㎡程度7


と、サイズも紙厚もかなり自由な仕様で作られていました。

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わが社の「しおり」
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以前、当社でも商品(紙)のPR用として、ご覧のような「オリジナルしおり」を作ってお客様にお配りしたことがありました。(社内でデザインをしました)

サイズは、38mm×120mmで小さ目にしました。
使用している紙は、画像の上から順に
  サイタン ミント 100kg
  オパール 象牙  110kg
  オパール 純白  110kg

 

と、
デザイナーの方々からの指定が多い人気の用紙を選定しました。(東京洋紙協同組合品「パピルプラス品」)
(実際には、もっと沢山の種類のしおりを作ったのですが、手許にサンプルがなくなってしまい3種類だけの紹介になりました)

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「しおり」思い出の仕事
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「しおり」に関連する仕事で、今でも記憶に残っている案件が2つあります。
一つは、あるお客様から商品PRのご相談があった際に、PR手法のひとつとして「しおり」を活用した事例です。
ある大手の書店に、商品PR用のしおりを置いていただけるかどうか相談したところ、快く置いていただけることになりました。(その時は無償でした)
出版社や取次店で作ったものでなくても、置いていただけることに少し驚きました。もちろん、印刷内容には制限やチェックが入りますので、条件等については各書店の方に確認をしてみてください。

打ち合わせの際、書店の担当者の方から「しおり」の仕様について2つのアドバイスをいただきました。それは、
① 紐を付けると格段にお持ち帰りの確度が高くなる。(宣伝効果が高い)
② 使う文字は大きすぎないこと。(本の文字より大きいと本が読みづらくなる)

「しおり」を作る際の参考になれば幸いです。

そして、もう一つは
お客様から、東北地方で有名なお祭り(あの「跳ねる」やつです)に使われた紙(和紙)の再利用を考えてほしいと相談をお受けした際の案件です。
「何にしようか・・・」社内で検討した結果、予算や納期を考慮し、その和紙を小さく断裁して「しおり」にすることにしました。
その和紙には、個性的な色使い、そして独特な絵柄が描かれており、どれをとっても世界に同じものが二つとない、非常に貴重な「しおり(ひも付き)」が完成しました。
「普段は見ることしかできないのに、あれがこうして、こんなステキなしおりになっちゃうんだ!」
元々使われていた時の素材感は保たれたまま、形を変えて「しおり」として生まれ変わった。
手にした時の感動や驚きは大きく、今でも記憶に残っている仕事です。
ちなみに、この「しおり」はお客様からもとても高い評価をいただきました。


普段、何げなく使っている「しおり」も、デザインや紙質に変化を持たせることで、小さいながらも魅力的なアイテム、効果的な販促ツールに変わっていくきます。
紙質や手触り感に特徴を持たせたい方は、是非、株式会社シオザワまでご相談ください。