2017年上半期『芥川賞』・『直木賞』受賞作品の紙

 

書籍で使用されている用紙をご紹介する記事も、これが2回目。
前回の記事(『騎士団長殺し』の用紙/2017年上半期書籍に使用された紙 2017/08/04)が好評(?!)だったことを受けて、この度めでたくシリーズ化が決定!
その名も『知ってる? あの本の紙』シリーズ。
今後、不定期ながらも、ちょこちょこご紹介していきますね。よろしくお願いしま~す。

 

 

さてと、では本日の1冊目。

 

■村田沙耶香著『コンビニ人間』

 

先日、とある学校に伺ったところ、

「祝 村田沙耶香さん 芥川賞受賞」の横断幕がありました。

2016年上半期に『コンビニ人間』で受賞された村田沙耶香さんの出身校だったのですね。

ということで、私としてはご縁を感じてしまい、早速この本の用紙を調べてみました。

見返しには「ポルカ ライム」が使用されていました。
鮮やかなグリーンに優しい手触り感のある用紙です。        
どうです、いい感じの紙でしょ。
村田沙耶香さん出身校の関係者のみなさん。ペーパーアイテムの何かに「ポルカ ライム」を使ってみませんか。これから学園祭シーズンでもありますし……。
   

■2017年上半期 直木賞・芥川賞

さて、本題。
本年7月19日に、2017年上半期の直木賞と芥川賞が発表されました。
芥川賞は沼田真佑さんの『影裏』
直木賞は佐藤正午さんの『月の満ち欠け』。
お二人とも、おめでとうございます!

どんな用紙で装丁されたのか気になったので、さっそく手に取り、紙調べをしてみました。

第一印象は「この2冊、なんか似てる」、

どちらもカバーにヴァンヌーボやMr.B、サンシオンのような手触り感のあるマット紙
が使用されており、どれも近しく、このあたりの銘柄の特定はなかなか難しいです。紙屋であってもちょっと特定がしづらいですね。
おそらく下記見本帳の中の用紙が使われていると予想します。

㈱竹尾さん「H‐3」
平和紙業㈱さん「D‐4‐2」
東京洋紙協同組合さん「パピルプラス品-3」

帯と見返しには色違いの同じ銘柄のエンボス紙がそれぞれ使用されており、一冊の本の中で統一感が出ています。

もう少し詳しくみてみましょう。

 

▶芥川賞 沼田真佑著『影裏』
帯  サガンGA プラチナホワイト
見返し サガンGA ビスキュイ

 

▶直木賞 佐藤正午著『月の満ち欠け』
帯  タント L-71
見返し タント N-3

 

紙屋の私としては、いろんな用紙を使って意外な装丁をしていただきたいところですが、これはこれで、シンプルで手に馴染みやすいと思います。
他にも同じような組み合わせの本を探したところ、同じ新刊本コーナーであと2冊ほど見つけました。
ブームなのか、偶然の一致か、装丁家の好みなのか……。
今後もこの法則が続くのか、”書籍用紙ウォッチャー”として気にして見ていきます。

さて、今日はここまで。
どうでした? 『知ってる? あの本の紙』シリーズ第2回は。
今後もこのシリーズ、続きます!
乞うご期待!