日頃何気なく使っている封筒。誰もが封筒の“役割”はわかっているのですが、封筒“それ自体”のことをどの程度知っているのでしょうか?
私は仕事柄、封入作業をしたりDMを送ったりと、封筒に触れる機会が多く、私にとっては封筒が身近な存在で、まるで友達のような感じになっています。(って、ちょっと大袈裟ですね)
なのに…、なのにですよ。そんな私ですらも実際のところ“封筒自体”のことをよくわかっていません。
と言うことで、今回は私たちに馴染みの深い「封筒」にスポットを当て、基礎知識から「へぇ~そうなんだ~」、「そんなの知らなかったよ」というハイレベル?なこぼれ話までを紹介したいと思います。マニア必見ですよ。
日本の封筒の歴史はそこそこ長くて、始まりは1830年頃、江戸時代後期の天保の年に使われ始めたと言われています。紙の誕生よりは新しいけれど、もう180年位経つことになります。
それまでの手紙というと、外側に巻紙を付けてバラバラにならないようにして輸送していたそうです。もしかしたら、某運送会社のマークでお馴染の飛脚くんが運んでいたかもしれませんね。
まずは、封筒の種類について
。
大きく分けて長形・角形・洋形・保存袋のような袋形の四種類があります。
私たちが普段最も多く使っているのは、長形の長3(A4を三ッ折にして入れるもの)と角形の角2(A4を折らないでそのまま入れるもの)で、「和封筒」と言っています。
和封筒は、長方形の短辺が封入口となっていて縦型。洋封筒も長方形ですが封入口が長辺側にあり、こちらは横型と言えます。
どっちが長3でどっちが角2かわからない方、ここで覚えてしまいましょう!(笑)
それでは、こぼれ話のスタートです。
最初は初級編、紙の目のはなし。
「封筒の流れ目方向は決まっている!」これ知っていました?
封筒を縦長に置いた時に上下方向、つまり天地に必ず紙の目が流れています。
どんな紙も必ず流れ目方向があるんです(合成紙のような例外はありますが)。業界用語でT目(縦目(たてめ))とかY目(横目(よこめ))と言っています。そう、肉と同じですよ。肉にも切りやすい方向と切りづらい方向があるのと同じで、紙をつくる時に繊維を同じ方向に揃えるのです。判別方法があって、簡単なのは紙を縦、横に軽めに折ってみるとわかります。折れやすい側が、その方向に目が流れているということです。折れにくく反発するのが逆目となります。それでもわからなければ、最終手段で破いてください。もっとよくわかります。(もったいないですけど…)
ちょっと話が逸れましたが、紙の流れ目を天地方向にするには訳があるのです。ピシッとした感じのある丈夫な封筒を作るためで、底を破れにくくして中身を守るためでもあるのです。この紙の目が逆だと腰が弱くて天地に引っ張られてしまって、シワの多いものになってしまいます。
続いて中級編、中貼りとサイド貼りのはなし。
「製袋時の貼り方は二種類ある!」これ知っていました?
封筒の裏面を見ると、貼り目(のりシロ)がセンターにあるものとサイド(必ず右側)にあるものがあります。これを中貼り・サイド貼りと言っています。
どっちが良いとか悪いということではないですが、それぞれメリット・デメリット、それと人によって好みがあるようです。
中貼りは、和封筒本来の貼り方で、徐々に数が少なくなってきましたが、昭和50年代頃までの既製品は全てこのタイプだったのです。当時は中貼りさんが番を張っていたわけです。貼り目が中心にあるので、ピシッとした封筒に仕上がりますが、印刷時に貼り目上に文字が重なってしまうと、文字が割れたり濃くなってしまいます。今日でも根強い中貼りファンはいるようです。チェーン店でコーヒーを飲むのではなく、髭の生えた暇そうなマスターが、一杯一杯愛情をこめて入れてくれる昔ながらの喫茶店を好むようなものです。
一方サイド貼りは、中貼りのように貼り目に邪魔されることなく刷れるので、数がどんどん増えてきました。ただ、貼り目がサイドにあるので、「ふにゃ」という感じになり、重ねていくと片高になって高く積むと倒れてしまうというデメリットがあります。
実は私はサイド貼りの隠れファンなのです。当社ではセンター貼りの封筒を使っているので、宛名を横書きしていると、真ん中の段差でペンが引っ掛かってしまい、どうも好きになれません。皆さんはどっち派でしょうか?
中級編をもうひとつ、既製品(大量生産在庫品)と別注品のはなし。
「二つの簡単な見分け方があるのです!」これ知っていました?
もし近くに封筒があったら裏面下の底部分を見てください。台形になっているのりシロの上の左右の角をよ~く見ると一発でわかるのです。角が直線になっているのが別注品、出っ張っていたり妙な形をしていたら既製品ですね。メーカーによって形は様々ですが区別できるようにしています。いや~考えてますよね。
ところで、あなたの封筒は既製品でした?それとも別注品でした?
最後に上級編、郵便番号枠のはなし。
「角形(角2とか角3)の封筒に郵便番号枠を付ける意味がない!」これ知っていました?
意味がないといいますか、必要がないのです。以前から「長形にはよく赤い郵便番号枠が付いているんだけど、角形には付いていないな~」って不思議に思っていたのです。元々、郵便枠の目的というのは、枠内に書かれた数字を「読み取り区別機」で読み取って区域ごとに分類してスピーディーに配送することでしたが、なんと角形はコンピューター処理ができないんですって。私はつい最近知ったのでした……。
以上、ちょっとした封筒のこぼればなしでした。
ここまでお読みいただいたアナタ、さて、これで封筒博士ですね!
紙にこだわってオリジナルの封筒を作りたいという方、
「こんな封筒あるの?」と確認したい方、
お気軽にご相談ください。
紙屋のシオザワは、勿論、封筒製作の良きサポーターでもあります。