デジタル印刷機の仮想体験 Canon「Customer Experience Center Tokyo」見学レポート

見学会での配布資料
見学会での配布資料

 少し間が空いてしまいましたが、去る6月21日にキャノン「CEC Tokyo」を見学して参りましたので、そのレポートさせていただきます。

「Customer Experience Center Tokyo (CEC Tokyo)」は、2017年4月にキヤノン株式会社本社の敷地内にオープンされました。
このCEC Tokyoの特徴は、「実際の印刷機を用いた、データ校正、メディア検証、デモンストレーション、トレーニングを通じて、印刷ビジネスの課題解決を“仮想体験”する場」としてオープンしたことで、単に「印刷会社の現状の設備環境にデジタル印刷機を増設した時のワークフローのシミュレーション」に留まっていないところです。
 この施設はフェンロー(オランダ)、ポーイング(ドイツ)、ボカラトン(アメリカ)に次いで世界全体で4か所目の施設で、アジア地区の拠点施設となります。

当日頂戴した出力見本
当日頂戴した出力見本

いざ、CEC Tokyo へ!

 見学会当日(6月21日)、東京は台風並みの雨と風の天候でした。 下丸子駅から歩くこと約10分、全身びしょびしょの状態でキヤノン㈱本社に到着。正門をくぐり受付を済ませ、いざCEC Tokyoの中へ。
 オープンして2カ月の施設内には、大小さまざまな印刷機が並んでいます。大雨の外とは対照的に、温度・湿度管理の行き届いている室内は快適そのものでした。
 そんな施設内を、説明会が始まる前に自由に見学させて頂き、「インクジェット印刷機なのに、A2コートの小巻のロール紙……インクジェット印刷専用紙かな?」とか「連続帳票の印刷の依頼は受けて納品したことはあるけど、実際の印刷機は初めて見た!」などと思っていると……、
 係の方からお声が掛かり、果たして説明会がスタートしました。
係の方のお話では、

  • このCEC Tokyoは世界と繋がり、インクジェット印刷の分野で先行する欧米からの情報も得ることが出来る。
  • 施設全体は4階建てとなり、4階は商談スペース、3階は「B to C製品・技術展示スペース」、2階は「B to B製品・技術展示スペース」、そして1階に大型商業印刷機を展示している「CEC Tokyo」がある。(今回の見学会では、オープン済みの1階のみの見学でした)。
  • CEC Tokyoには、帳票・DM等を印刷する「トナー/インクジェット式印刷機」から書籍・カタログ・販促系を印刷するデジタル印刷機まで、多種多様の印刷機が展示されており、自社の仕事内容に合致するデジタル印刷機を動かし、体験し、ビジネスとしての採算性を検証することが出来る場となっている。

とのことでした。

CEC Tokyo に設置しているデジタル印刷機

① Oce VarioStream 7170(モノクロトナー)
少量多品種の帳票印刷や様々な用紙対応を必要とする小規模から中規模の印刷向けに最適な連帳デジタル印刷システムで、圧着紙やラベル紙、薄手のプラスチックカード、合成紙など、多様な印刷メディアに対応。

② Oce VarioStream4450(モノクロトナー)
トナー方式の業務用高速連帳プリンター。

③ Oce MonoStream500(モノクロインクジェット)
1200dpi×1200dpiの解析度と80m/分の印刷スピードを両立し、高生産性を維持しながら高品質プリントを実現。

④ Oce VarioPrint i300(フルカラーインクジェット)
インクジェットの特性である高い生産性・低い生産コストと最大A4両面300ページ/分のスピードに加え、「ColerGrip(カラーグリップ)」により幅広い用紙対応を実現。
※「ColorGrip=ベースコート剤」

⑤ Oce ColorStream6000(フルカラーインクジェット)
モノクロ、フルカラー、特殊インク用の6色まで設定が可能で、MICRやセキュリティインクなどを使用して特別な価値を付加出来ます。
※「MICR=磁気インクによって、印字された文字を読み取る装置」

⑥ ImageStream 2400(フルカラーインクジェット)
用紙幅762㎜のロール紙に最大毎分160mの両面印刷が可能なフルカラー高速インクジェットプリンター。オフセットコート紙(アンカー剤無)にも対応。

⑦ imagePRESS C10000VP(フルカラートナー)
2400dpiの高精細画質を高速で出力(A4:100枚/分)で、350g/㎡の厚紙やコート紙も高速印刷が可能です

その他、「Horizon製の製本機」も設置されています。

インクジェット印刷機の今後

 事前見学で見ていたImageStream2400はアンカー剤を塗布しなくても一般コート紙に印刷が出来ることや、VarioPrint i300ではアンカー剤を塗布することの出来るユニットを組むことで、印刷用紙に幅を持たせる事が出来るなど新しい知識の習得が出来ました。
 また、ColorStream6000とHorizon製の製本機との組み合わせで、異なる版型(サイズや頁数)のものを同時に印刷し、バーコード管理で製本までこなすという「オンデマンドブック生産フロー」ゾーンでは、実際に本が出来上がるまでの工程の見学もさせて頂きました。
 説明会の中の話では、今後のトナーとインクの消費量予測で、2013年は圧倒的なトナーの消費量であったが、2018年でほぼ同量の消費となり、2019年ではトナーとインクの消費量が逆転すると予測されていました。これはインクジェット印刷機に対する需要の高まりがあり、それに伴い今後、インクジェット印刷機の新商品開発・発売がされていくからだと思います。
 見学会の最後には、B2サイズに対応した転写プロセス式の水性インクジェット印刷機「VOYAGER(ボイジャー)」の紹介ビデオが流され、デジタル印刷の技術進歩と今後の新商品(特にインクジェット印刷方式のデジタル印刷機)に大変期待が持てる見学会となりました。

宜しければ、皆様も一度CEC Tokyo を見学されてみてはいかがでしょうか? 色々と刺激を受けることと思います。
見学に当たっては完全予約制とのことです。詳しはCEC Tokyo のサイトでご確認ください。 

⇒ http://www.canon-pps.co.jp/cec/index.html