「オンデマンド印刷機の活用」座談会開催!その③

オンデマンド座談会の様子(写真)-3
オンデマンド座談会の様子

オンデマンド印刷に係わっている方々にお集まりいただいて「オンデマンド印刷機の活用に関する座談会」を開催しました。

業務を行っている人ならではの裏話や”アルアル話”が飛び交いました。迫真?!のレポート最終回。是非お読みください!

 

【座談会概要】
 ・テーマ: オンデマンド印刷の活用について
 ・日 程: 平成28年9月13日(火)

 ・場 所: 株式会社シオザワ 会議室
 ・参加者: 計8社(スピーカー8名+各社1~2名)

 

あんまり気にしたことは無かったけど、紙って伸縮するのかぁ……。ミリ単位で調整しているなんて知らなかったなぁ…。
トナーの裏付きも「ドキュメントオフセット」という現象がある事を初めて知りました。

次は色々な紙を使って印刷物を作成しているお客様のお話を伺いました。


【メーカー純正紙以外の活用に関して: B様・C様・D様・E様・G様・H様】
■D様
当初紙を絞って効率化を図りたいと考えていたが、それではオフセットと同じで、オンデマンドであれば品種を増やし、メディアの部分でもっとチャレンジしていく必要がある。プリンターメーカーは100%出力出来ないと責任が取れないから推奨しないが、我々は80%でもOKなら出力設定等を教えて欲しい。キャバクラの名刺等、今は100種類くらい特殊紙を使用している。プリンターメーカーと連携し、様々な用紙をテストしている。最近ではトナー適性を持たせたPETフィルム商品も出ている。メディアもハード機器に対応しているし、ハード機器もメディアに対応しており、様々な特殊紙で視覚的効果を出せるようになってきている。

■E様
特殊紙に関しては刷ってみないと解らないので必ずテスト走行をし、安定性が無いとラインナップには入れない、エンボス紙は商品や紙の厚さによりエンボスの溝の深さも変わるので提案しにくい部分がある。

■H様
某プリンターメーカーは特殊紙のテストに積極的で、コルクや植毛紙等紙以外の素材の商品もテストを希望される。安全装置等のリミッターを解除すれば刷れる紙もあり、紙屋・機械屋は関係なく、商品を知って、通紙してみる事が大事なのではないか。

■C様
パール系の用紙は引き合いがあるが、オンデマンドですぐに納品して欲しいという場合はテスト印字している時間が無く、お断りしているケースもある。事前にテストを繰り返していればその場で提案ができるのだが中々時間が無く、それが原因で機械が壊れると次の仕事ができないので難しい。従来の見本帳は小さすぎるので、はがきサイズ程度の用紙見本帳があればテスト印字も出来るので良いのではないか。

■G様
数年前に比べると純正紙以外も視野に入れるようになっており、昨今のプリンターに関してはそのプリンターが使われる市場やシチュエーションを想定し、リリース前の開発段階である程度の用紙はテストしており、出力結果のデータベースもプリンターを購入されたユーザーには提供している。だが、全ての紙をテストする事は難しいのでリリース後に検証の依頼があれば、別途テスト印字する体制は整えており、この条件でこの程度刷れるといった事実や設定条件をご案内する事は可能である。

■B様
数枚であれば問題はないが数百枚単位で出力した場合どうなるのかは未知数であったり、プリンターメーカーのデータベースでは足りない部分もある。このあたりの情報はプリンターメーカーは出しづらいので、逆に紙の卸商が積極的にデータをとり情報として発信してもらいたい。

プリンターメーカーの純正紙と違ってテストしてみないとどこまで使えるか解らないから心配だな……。でも私たち紙卸商がお客様の印刷事例を都度データとして残して提案していくことが出来ればもっといろんな紙を使って頂けるかも!

最後に今後のオンデマンド印刷を取り巻く環境に関してお話を頂きました

【drupa2016に関して:D様・G様】
■G様
プロダクションプリンターはただ紙をするだけでは売れない時代になっており、様々なメディアで刷れること以外に、折って・切って・貼って等の後加工が出来ることが求められている。自社以外の後加工機のメーカーと連携して、インラインでは中々難しいので人の手が一部かかるが自動に近い後加工のラインを形成する必要がある。今年のdrupa2016ではB1・B2の大きいサイズのインクジェット機が各社で発表され、パッケージや軟包装でサイズを広げ後加工出来る機械がトレンドとなってきている。

■D様
4年前のdrupaでも、今回と同じくインクジェット機が会場を沸かせていたが今回出展されたものよりも出力サイズが小さく印刷速度もまだまだでしたが某大手新聞社の輪転印刷機の寿命が近づきそのまま輪転機にすべきかインクジェットを入れるべきか検討していたという話がありました。最近はスマホが出てきたことにより可変のインクジェット、つまりバリアブルという出展ブースが無くなってきたように感じる。可変の情報はスマホで発信すれば良いわけで、今回の各メーカーのインクジェットはパッケージの用途で箔押しや抜き加工機とセットで出展するブースが多かったと思う。パッケージはスマホに置き変えることができないので今後も残る印刷物だと思うので、各プリンターメーカーはそちらにシフトしているように感じた。バリアブル印刷もOne to Oneにではなく小ロット個別パッケージみたいに。

なるほど~。時代の変化でオンデマンド機の使われ方も変わってきているんだぁ。インターネット広告やSNSの広がりでOne to Oneマーケティングが出来る時代になり、印刷も同じ内容で大量にするのではなく、ITと連動したり、様々な特殊紙で視覚的効果を出す必要があるんだな~。
 
今日はオンデマンド印刷に係わっている皆様のお話を伺い勉強になったな。私も様々な知識を持ってお客様のお役にたてる営業マンに成長するぞ!!

高橋君、座談会レポートお疲れ様でした。現在紙業界は長きに渡る景気低迷やネット広告の影響で、印刷物自体の低価格化が問題になっています。価格競争のあまり用紙も含めて印刷物の多様性が失われてきている現状があります。
今回座談会にご参加いただいた企業様はそういった現状を打破すべく新しい事にチャレンジされています。私たち紙卸商もファンシーペーパーや特殊マテリアルに関する知識を広げ、具体的な使い方を提案する事で印刷物の多様性、五感に訴える印刷物を作る為のお手伝いが出来るのではないでしょうか。高橋君も次世代の営業マンとしてこれからもがんばってください!