「オンデマンド印刷機の活用」座談会開催!その②

オンデマンド座談会の様子(写真)-2
オンデマンド座談会の様子

オンデマンド印刷に係わっている方々にお集まりいただいて「オンデマンド印刷機の活用に関する座談会」を開催しました。

業務を行っている人ならではの裏話や”アルアル話”が飛び交いました。迫真?!のレポート第2回。是非お読みください!

 

【座談会概要】
 ・テーマ: オンデマンド印刷の活用について
 ・日 程: 平成28年9月13日(火)

 ・場 所: 株式会社シオザワ 会議室
 ・参加者: 計8社(スピーカー8名+各社1~2名)

 

同じ印刷でもオンデマンド機は小ロット短納期やパーソナルユースの対応に向いているんだなぁ。自分だけの印刷物が綺麗に作れると確かに嬉しいかも……。

今度は私と同じ紙流通の会社さんのお話です!

【内製化企業への用紙提案:H様】
 プリンターメーカーは機械を売りたい。我々は紙を売りたいという中で、何とかマッチングできるものがあればと活動している。例えば出版関係で、本の営業倉庫をしている会社がオンデマンド機を導入するケースがある。文庫本の「帯」に関して、返本された本でも映画化が決まると帯を差し替えて出荷するケースがあり、その場合オフセットでは間に合わないのでオンデマンドで印刷する。出版関係だと自費出版等があるが、実際は需要が少ないのが現実で、先程の文庫本の「帯」のように我々は内製化企業へ効率化や目的を持って使える用紙の提案をしていかなければならない。

なるほど~。単に必要な時に必要な量だけ紙を納品する以外に現場のお客様のお話を伺い、仕事にマッチした紙の使い方を提案する事も必要なのか…。奥が深いなぁ。

次にオンデマンド印刷の色の安定性について印刷現場の方に聞いてみました。

 

 


【オンデマンドとオフセットの違い:C様・E様】
■C様
オフィスのアウトソーシングは年々増えている。名刺のスピード対応から入り、製本やその他の物を受注する。外資系の入稿サイズは特殊なものが多く、これらをオンデマンドで対応する事で顧客価値を高めている。量が増えた場合は契約しているオフセット印刷会社に外注し、ボリュームにより使い分けている。オンデマンド印刷の質が上がり、顧客も仕上がりの違いを意識しなくなっている。

■E様
例えば、オンデマンドは軽自動車で近場を小回りするもので、オフセットは高級車で高速道路に乗り遠くまで出かけるようなもの。同じ乗り物でも積んでいるエンジンが違うように、印刷機も特性が違う。
ギリギリまで内容が決まらない印刷物はオンデマンドでの対応が重宝するが、版を作らないオンデマンド印刷は顧客も校正の意識が甘くなり、入稿後の修正も多いので、その辺りの進め方も課題である。

【色の安定性に関して:C様・D様・G様】
■C様
1か月に1回は色味のチェックを行う、電圧や通紙速度を変えたり、自分たちでできることはする。それでもダメな場合はプリンターメーカーのエンジニアを呼んで色の調整等をしてもらっている。

■D様
繁忙期は1日に7,000箱の名刺を印刷するのでA3に20面付けしてもムラが出ないよう各マシンの特性を理解するようにしている。ドラム等プリンターの部品を交換したフレッシュな状態ではパフォーマンスが高いのは当たり前で、使っていく中でパフォーマンスが落ちても印刷品質が保てるように、キャリブレーションを行うタイミングなど工夫して運用している。サービスマンの方で、よくトナーのノリが悪いと湿度のせいにする事があるが、複数のプリンターを使う事で、同条件でもプリンターメーカーにより差が出てくるので、その部分でプリンターの特性を知ることができるし、各プリンターメーカーも同条件で差が出てくることを伝えると真剣に原因を調べてくれる。色が安定しにくいのはオンデマンド印刷機の特性なので如何にノウハウでカバーするかがポイントだと考える。
名刺は同じ色味を出さなければならないので、某社のカラーサーバーを導入して対応している。(1台のプリンターでは約2000種類のデータを刷るのでプリンター毎にプロファイルで管理している) これによって、色味の管理以外にもプロダクションプリンターを他社機に入れ替える時もほとんど問題無く切り替えができる。今後のプロダクションプリンターにはこのようなカラー最適化ソフトウェアが標準装備していると差別化ができるのではないか。

■G様
名刺等は、CIとしてカラーに注意が必要だったり、小さいサイズなので1ミリのズレがレイアウト全体に影響がでやすくズレが分かりやすい商品である。トナー自体は電化を与え紙に定着させる仕組みである。つまり定着されなかった不要トナーは回収され、出したり入れたりするので電化されたトナーは劣化していく。先程のフレッシュな状態が一番パフォーマンスとして高く、その理由で色に差が出てきてしまう。

オンデマンド機は機械の構造上、温度や湿度の影響で印刷の色が変わり易いのか……。それでも印刷品質を高める努力をする現場の方はさすがプロだなぁ。

印刷時の色管理以外にも紙の表裏見当ズレ等についてもお話を伺いました。

【表裏の見当ズレに関して:A様・D様・G様・シオザワ】
■D様
用紙はA4であれば縦方向に0.5~1ミリは伸縮するが、この紙は伸びる・縮むとか季節により変化するとかロットによってもバラツキがある。紙は湿度により変化するので印刷環境を安定させるようにと言われているが、紙卸商の倉庫の湿度までは管理できないので、自社内の湿度を調整してもあまり意味がない。用紙設定も季節や納入されたロットによって設定内容を変え調整している。

■シオザワ
両面印刷の場合片面づつ2回プリンターを通すので、1回目で縮むのは仕方なく、表裏同時に刷れるようにすればその分プリンターが大きくなりすぎる問題も有る。

■A様
名刺に関して、用紙によっては名刺入れに長期間入れていると裏付きしてしまうというクレームがある。

■G様
トナーは60~70度の劣悪な環境下での放置状態が一週間程度続くとトナーの裏付きが起こる。「ドキュメントオフセット」という現象で、夏場にポケットに名刺入れを入れた状態が続くと裏付きする可能性があり、今後の課題として研究している最中である。